防火区画とは、一般建築物で、火災発生時に火災の拡大や煙の伝播を防止する目的で準耐火構造の壁・床・防火戸等によって区切られた防火上有効な区画をいいます。この防火区画の壁や床をケーブルが貫通する場合は、その貫通部にも防火措置が必要であり「防火区画処理」と呼ばれます。もし適正な防火区画処理が行われていないと、建物の一部で起きた火災がケーブルを伝わって全体に広がってしまう危険があります。
竣工当時は各行政・ゼネコンの厳しい基準による検査をクリアーしており安全は確保されていたはずが、時代の流れによるケーブルの多種化、通線後の復旧不備、地震による破損などで「要求耐火性能」が損なわれている可能性があります。
近年、防火区画貫通部に関する不具合施行に対して違反が確認され、是正指導が特定行政庁にて行われています。正しい工法で施行するためには、建築工事に関わるケースもあり、専門業者と打合せの上、早い段階で工法の選定を行い、諸官庁への申請・承認受理が必要です。下記『防火区画工事計画フローチャート』を活用ください。
代表的な工法
表には見えない部分だからこそ、責任を持って施工する。20年以上この業界で現場に携わって来た確かな腕を持つ職人が工事にあたります。一般的な工法から最新の材料を使った工法まで、各現場に最適な材料・工法をご提案致します。
一般的によく見かける防火措置工法。ケーブルの形状にカットしたケイカル板を取り付けて耐熱シール材で塞ぐ工法です。現在は片面工法が主流ですが、一昔前はサンドイッチ工法と呼ばれる両面ケイカル+ロックウール充填が基本な措置工法で時代の流れに伴い簡素化されてきています。写真の様な複雑なケーブルにも対応できる見た目も良い工法だといえます。
サイズの違う耐火ブロックを開口に詰めていく工法です。作業場所を汚さない上に貫通物も多種多様です。施工性は最も優れており、メンテナンスも楽な優れた工法だといえます。床開口では業界NO.1の開口面積が施工可能です。
壁・床と一体化して見える現在の主流工法です。耐火ボードを開口・ケーブルに沿ってカットして、壁・床面に充填後、シール材で隙間を埋めます。施工性も良好で、耐水性や経年劣化に強いバランスの取れた工法だといえます。
写真の短管工法は熱膨張材系のシートを管口に巻きつけるだけの簡単工法です。どちらか片面だけの施工でよく、自己融着性があるのでとても簡単に作業ができます。他にもシール材を充填する工法も存在します。
耐熱シール材を充填する工法です。貫通物・受け金具有無・充填圧・大きさは耐火試験の規定値を守らなければなりませんが、とても使用頻度の高い工法です。通常の防火区画(国土交通大臣認定)以外にも総務省令40号の規定に対応する(財)日本消防設備安全センターの性能評定も取得しているシール材も多数あります。
形状の決まったユニットをケーブル周りに取り付けて処理を行う工法です。(財)消防設備安全センターの性能評定を取得している材料が多く、冷媒管や可とう電線管をしっかりと防火措置できる工法です。
その他にもNTTや電算センター等の特定仕様工法や危険物対応・遮炎シート・テープによる防災システム、電力系ケーブルにも対応しております。